• 奈良の女性専用ゲストハウス

なかなか近いようで遠い&遠いようで近い宇治の満福寺さんに行ってきました。

先日、奈良博で開催されていた「大安寺のすべて」展があまりに素晴らしく、その中で拝見した宝誌和尚のお姿(お顔から十一面観音が出御されているお姿)にビックリ仰天していたら、萬福寺さんにもすっごいお姿をされている羅漢さんがいてはるって聞いて行ってきたんです。

萬福寺へのアクセス

奈良から萬福寺へ行くには、まず『黄檗(おうばく)駅』を目指します。
黄檗駅は、京阪とJRの2か所あります。

  • 近鉄奈良駅から
    京都行に乗って「丹波橋(たんばばし)」で「京阪電車」に乗り換えて「黄檗駅」へ
    (約1時間15分/780円)
  • JR奈良駅から
    京都行に乗って「黄檗駅」へ
    (約40分/510円)

黄檗駅からは、歩いてスグ(このGoogleマップでは、JR黄檗駅からのルートを示しています)

萬福寺とは

承応三年(1654)中国から隠元(いんげん)禅師が来日、黄檗宗萬福寺を創建されました。
創建以後火災にもあわず当初の姿をそのままに現在まで至っているんですって。
すごいです。

黄檗宗は禅宗のひとつです。

禅宗というのは、鎌倉期に武家の間で広まった臨済宗や曹洞宗が有名ですが、江戸時代に日本に伝わった黄檗宗をあわせて「日本三禅宗」と呼ぶんです。
禅宗を中国で創始されたインド僧のダルマ大師がルーツですね。

そして、隠元禅師って、豆みたいな名前でしょう?
だって、インゲン豆を日本に持って来られたのは、隠元禅師その人なんですもの。

インゲン豆だけではなく、スイカ、レンコン、ナス、タケノコ(孟宗竹)、ピーナッツも隠元禅師が持って来られたんだそうです。

ほかにも、木魚や明朝体の文字、400字詰め原稿用紙、木版印刷の技術も!!
隠元禅師が来られてなかったら、原稿用紙はどんな物になってたんでしょうね。

そして、今回いただいてきた普茶料理(ふちゃりょうり)という中国風の精進料理も、隠元禅師が伝えられたんです。

萬福寺さんで味わえる普茶料理

3コースあって、すべて3日前の午前中までに予約したら頂けます。

今回は、萬福寺デビューだったため、お坊さまに境内を案内していただいて伽藍をたっぷり案内して頂いてから普茶料理を楽しませていただける特別普茶御膳「あおい」(8,888円・税込)を予約していきました。

そしたら、大雨!!

え・・・雨やし、やめる?

という訳にもいかず、ビッショビショになりながら萬福寺さんに辿り着くと、優しそうなお坊さまが山門で待ってくださっていて、あまりに激しい雨なので、ちょっと雑談をしながら雨の勢いが弱まるのを待っていました。

そしたら、なんと、そのお坊さまは奈良のご出身とのことで、ものっすごい親近感!
雨の中、ずっと足元を心配してくださって、めちゃくちゃ優しいお方でした。

まずは(個人的な)萬福寺の見どころ

上空から見ると伽藍が龍の姿のように見える「龍の伽藍」とのことで、敷石が龍のうろこを表すデザインが、もう初っ端からカッコいいです。

菱形がつらなるように敷かれた石は龍のうろこをイメージしているのだそうです

山門(三門)は屋根の端が反りあがっていてカッコよく、これらの伽藍配置や建物の様式は中国の明朝のものなのだそうです。

開山堂と本堂の扉には桃が彫られていて、当初は彩色されていたそうで、とっても可愛いのです。
桃は魔除けのしるしなんですよね。

ほら、伊邪那岐命が黄泉平坂で魔物から逃げている時に投げたのが桃の実でしたもんね。
春日大社にも鬼瓦のかわりに、桃瓦が乗っているんですよ。
ちょっと脱線しましたね・・・

桃の扉がカワイイ♡

開山堂からは回廊にしっかり屋根があるので、あとは安心です。

回廊の途中にあった鐘を撞かせてもらったりしながら、天王殿へ。

こちらには、弥勒菩薩(布袋)さんがおられます。
萬福寺さんの仏さんは全て中国人仏師によって造られたそうなので、本当に中国っぽい風貌の福々しいお顔で笑ってはる布袋さんに心を和ましてもらいました。

布袋さんと背中合わせにおられるのは、韋駄天さん。
めっちゃきりっと美しい顔立ちの正統派イケメンで、周りにおられる四天王さんが少々丈夫な体型なのに対して、韋駄天さんはシュッとしてはるのが、いかにも走ったら速そうな佇まいです。

そして回廊をまわって、シンボリックなアイコンになっている開梆(かいぱん)のところへ。

なぜ魚なのか?というと、魚にはまぶたが無いところから、眠らず懸命に努めるさまを表しているのだそうです。

そして、この魚がくわえている玉は、煩悩を表しているのだとか。
煩悩をオエッと吐き出したところなのですね。

この開梆と回廊の鐘などを呼応させて鳴らしながら、その音で法要の進行具合などを寺内に伝えるのだそうです。
江戸時代のアイテムが現役で使われているの、すごいですよね。

そして、本堂にあたる大雄寶殿(だいおうほうでん)へ。

ご本尊は釈迦三尊なのですが、脇侍さんが摩訶迦葉(まかかしょう)と阿難陀(あなんだ)なんです。
ちなみに、やはり阿難陀さんは分かりやすくイケメンでした。
ぶれないアーナンダ像が素敵!

その周りに羅漢さんがずらりとおられて、賓頭盧さんは、お膝がツルッツル。
さすがの人気者ですね。

そして、噂の羅睺羅尊者(らごらそんじゃ)!!
お腹をピラ~ンとめくってはって、その中から仏さんが顔を出されているんです。
かなり怖いことをしてはる姿なのですが、 羅睺羅尊者のなんとも穏やかな表情を見ていると、物理的にそうなっているホラーな感じではなく、「みんなの中に仏が宿っているんだよ」というメッセージを比喩的に示している感じが伝わる座像です。
パッと見ると、ギョッとする感じですが、次第になんとも穏やかなありがたみが伝わってくるのが不思議です。

羅漢さんたちも、しっかり日本人離れしたお顔立ちで、めっちゃ中国っぽかったりインドっぽかったり、とてもエキゾチックな仏さんたちにお会いして、異国にいるような感覚になりました。

特に、大雄寶殿の前の香炉やお供えするお線香が、完全に中国風。

異国情緒にあふれた和と中の折衷が、まったくハレーションを起こしていないピッタリ融合で、興味深くて素敵でした。

普茶料理

精進料理って聞いても、あまり心躍らない食いしん坊な私。

ホンマにお腹いっぱいになるんかしら?などと思っていたら、大間違い!
お腹も心も完全に満たされるお料理でした。

色とりどり、趣向とりどり、味もバリエーション豊か!!
見てて楽しいし、口に運ぶと食感と味覚で楽しませてもらえる、まさに食のエンターテインメント。

隠元禅師が日本に持って来られたインゲンやレンコンの天ぷらが入っているのも粋なはからいですが、大根やリンゴの天ぷらという意欲作(?)にも驚き&感動です。
特に初めて食べたリンゴの天ぷらは、本当に美味しくて、ちゃんと”おかず”でビックリしました。

鶏のから揚げ”もどき”は、ちゃんとしっかり味がついた肉の風味でした。
え?もう、鶏肉いらんやん…ぐらい、きっちり”から揚げ”で私の精進料理観が覆された瞬間がこの時でした。

ウナギも、皮に見立てて海苔があしらわれていたりして、丁寧な”もどき”っぷりです。

ひっくり返すと、海苔が皮のように見立てられた鰻!すてき!

手まり寿司は、お漬物で。
それぞれのお漬物が、これまた美味なんです。

お吸い物も、カツオ出汁はないですよね?何これ?昆布でココまでイケるの?ぐらい深みのあるお出汁の旨味に感動しました。

こういうカワイイ演出も素敵♡

この湯呑、100点!!

デザートは、ビジュアルまで秀逸で、口福&眼福。

大変美味しゅうございました♡ (これ分かる人、私の世代ですね♡)

大事な人をエスコートするのにピッタリな場所だなぁ・・・ってシミジミ思いました。

ピッカピカに晴れている奈良の空を見上げ、萬福寺にいる時”だけ”大雨やった事に思いを馳せながら、
「萬福寺の龍による大歓迎やったんやな」
などと笑いながら、帰ってきました。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください